脂肪吸引で起こる「不自然な仕上がり」とは
脂肪吸引は究極の痩身術といわれます。そう呼ばれる理由のひとつに「細くするだけでなく、ボディラインを美しく整えることができるから」というものがあります。
確かに、体重を落とすだけならダイエットが最も確実です。ですがこの方法では、特定の部分を細くする「部分痩せ」は、まず不可能です。「ダイエットで体重が落ちたのはいいけれど、胸まで小さくなっちゃった…」そうしたことは、ごく当たり前のように起こる現象です。
さらに腕や足が細くなったとして、果たしてそれが「美しい」かどうかというのは、また別の問題です。いくら「細くなった」「体重が激減した」といっても、まるで骸骨のようになってしまっては、美しさからは遠ざかっていくばかりでしょう。
ところが脂肪吸引ならば、こうしたことが起こりません。細くしたい部分だけを細くする、つまり「部分痩せ」ができますし、除去する脂肪の量も限度内であれば自由にコントロールできます。ボディラインを微妙に整え、美しいプロポーションを実現することができます。
にもかかわらず、脂肪吸引を行った結果「仕上がりが不自然になった」というトラブルが起こることがあります。これは明らかに執刀した医師の側に原因があるわけですが、単純に「技術力の問題」というものではありません。むしろ目に見えない、美容整形医としての総合力不足だと言えます。
自然な仕上がりのために必要なもの
脂肪吸引で多いリクエストは、太ももやヒップ、ウエストの吸引です。また中年以降の年代の方であれば、お腹から脇腹にかけての吸引を希望される方も多いものです。ですがどこを吸引するにせよ、単純に「細くすればよい」というものではありません。美容整形である以上、今以上に美しい仕上がりを実現できなければ、意味がないのです。
では美しい仕上がりとはどのようなものでしょう? まず第一に必要なのが「自然さ」です。たとえばウエストを細くしたいからといって、ウエストだけを念入りに吸引しても良い結果は得られません。肩からバスト、そしてヒップへと続くラインの中で、流れるようなボディラインに仕上げなければ、違和感を感じさせるばかりです。また太ももであれば、上半身と腰周りとのバランスを見ながら、最も美しく見えるラインを作り上げる必要があります。やみくもに細くしたところで、決して美しく見えるわけではありません。
私たち美容整形医は、こうした全体的なバランスを知っています。ですからたとえば、「太ももをこれくらい細くしたい」という患者様のリクエストに対して、「太ももとヒップを同時に吸引して、バランスをとったほうがキレイになりますよ」というようなアドバイスをします。これが美容整形医としての総合力なのです。
仕上がりの美しさを左右する医師の美的センス
美容整形医の技量とは、手先の器用さだけではありません。むしろそれ以外の要素がとても重要です。そのひとつが、女性美に対する磨かれた美的センスです。
カウンセリングの場で「どのような仕上がりにするか」を患者様と話し合うとき、私たち医師は美容整形医としての総合力をフル出動させています。患者様の身長や体型、さらには患者様ご自身の個性や雰囲気などすべてを踏まえ、そこに患者様ご自身のご希望を勘案して、どのような仕上がりが最も似合い、美しいかを検討するのです。そこで非常に重要な役割を果たすのが、この美的センスなのです。これがなければ、どれほど技術が優れていても美容整形医としては失格ですし、患者様にもご満足いただける仕上がりを得ることはできません。
手術の手技…テクニックというものは、経験を積むことで鍛えることができます。ですが美的センスは感性の問題ですので、経験を積んだからといって自然に磨かれるものでもありません。優れたセンスがなくては、美しい仕上がりを得ることはできません。それが曇らぬように日々磨きをかけることは美容整形医の努めであり、そうした医師のセンスを見きわめることも、後悔しない整形を受けるためには重要なことなのです。
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